映画
日本では、戦後60年の間に高度経済成長とエンターテイメントの普及があいまって、数多くの映画館が生まれた。
そして日本固有の文化としても盛況になり、作品もアニメを中心に海外での評価も高まってきた。
今では、全国的に減少傾向である映画館ではあるが、人気が衰えることは無い。
日本人は元来、大衆演劇には目が肥えていたと思う。
安らぎや癒される感覚を持っているのだろう。
映画館でのマナーは誰もが知っている通りであるが、国内で作られる作品の幅は、年々広がっているのではないか。
3Dスタイルは、中々人気とまではいかないものの、最近では、シネコン形式の映画館が増えるにしたがって、客足も伸びていると聞く。
ちょっとした特等席もあり、ドリンクやスナック類が付いてくるらしい。
逆に経営が厳しいのは、非常にマニアックな作品つまりは「通好み」の作品を取り上げる映画館である。
そもそも、マニアック路線は集客が難しいし、作品の買付についても中々手が出にくいこともあるだろう。
ハリウッドで制作されるような作品は、製作費も広告費もケタ違いであり、興行収入ウン百万ドルの世界。
片や知る人ぞ知る作品については、どれほどの興行収入が見込めるのが、さっぱりと見当もつかないのではないだろうか。
映画館の存続にも関わるので、マーケティングは難しそうだ。
大画面の迫力は、結果として家庭では味わえないのだが。
映画に出てくる料理について
子供の頃、姉がお稽古事に行っているあいだ、母親も付き添って出ていたので、私は自然と、父親と留守番をすることが多かった。
父親は映画が好きで、テレビで放送している映画をしょっちゅう観ていた(映画というよりテレビというものが好きだったのだということを最近知ったが)。
留守番なんか他にやることもないから、小さい私も一緒に観ていた。
横になってテレビをだらだらと観ている父のお腹の上に寝そべって観ていた。
大抵はハリウッド映画だ。
西部劇から学校もの、アクション、サスペンス。
ホラー以外なら何でも観た。
これらの映画には、まずそうな食べ物が沢山出てくる。
高校のランチで、食堂で出されるマッシュポテト。
大きなスプーンでべちゃっとお皿に盛り付けられる、というか投げつけられる。
ミックスベジタブルがミルクの中に沢山入っているようななんだか良く分からないもの。
オートミール、ふやけたシリアル。
ピーナッツバターとぶどうゼリーを一緒にたっぷりパンにはさんだもの。
チーズとハムを無造作に突っ込んだサンドウィッチ。
挙げればきりがない。
どれも本当にまずそうなのだ。
食べる側も、とにかくお腹に詰め込むといったように、まずそうに頬張る。
それでも、私はあの重力に逆らうかのようなマッシュポテトや、べたべたのピーナッツバターに底知れない魅力を感じた。
ランチボックスから出てくる、ぺちゃんこのサンドウィッチとりんご、そしてチップスの三点セット。
このお決まりのセットにも憧れを抱いた。
どうしてこんなにこだわらないのだろう、と思いながらも、それでもこの国を形成している食文化なのだ。
やはりどこか惹きつけられる。
そういえば、映画の中で唯一本当に美味しそうなものがあった。
100%オレンジジュースだ。
やはり、フロリダオレンジとカリフォルニアオレンジを有する国だからだろうか。